益田ミリさんが大好きです。
ミリさんとの出会いは娘の買ってきた『かわいい見聞録』でした。それ以来、おそらくミリさんのほとんどの本を読みました。
ほっこりするイラストと、素朴だけど心に響く言葉が素敵なんです。
中でも一番のお気に入りは『きみの隣りで』
主人公の早川さんは森の近くに住んでいて、小学生の男の子がいます。その男の子のことをお母さんである早川さんは「太郎少年」と呼んでいるのですが、早川さんと太郎少年の親子関係がなんとも心地よいんです。
早川さんは、1年に1度一人旅に出るのですが、
太郎少年「ねえお母さん、よそのお母さんも一人で旅行するの?」
早川さん「さあ、どうかな。太郎はお母さんがよそのお母さんと同じがいい?」
太郎少年「。。。」
早川さん「お母さんは、太郎がよそのお母さんと違ってもいい。」
2016年 君の隣りで 益田ミリ著
うんうん、そうそう。母さんも子どもも、みんなと違っていい!
太郎少年の小学校の先生は独身女性で、最近森の近くのに引っ越してきたばっかり。先生として1人で頑張っているのに、心配性のお母さんがほっといてくれません。お母さんは本人が帰る前に勝手にアパートに入って、部屋の片付けをしたり料理を作ったりしてしまいます。そんな親から離れたい、でも親の期待に背くことはできない。先生はそんな気持ちの狭間にいます。
ある日、森で早川さんと先生が出会います。その時はお互いどんな繋がりがあるかも知らず。
早川さんは森のことにとても詳しいので、植物の種の旅立ちについて色々と話します。
早川さん「木や草花の親も心配でしょうね。大切に育てた種も、いつかは風にのったり雨粒に弾かれてたりして、巣立っていく。親がずっと見守り続けることはできません。しっかり芽を出して生きるんだよって願うだけ。」
先生「きっと期待にそえない種もいますね。」
早川さん「期待は、期待。種本人には関係ないですヨ。離れていくことからでしか、世界は広がらないのだし、なんて!」
2016年 君の隣りで 益田ミリ著
そしてある日、早川さんは先生のお母さんとも出会います。いつものように森の植物について話すうちに、先生のお母さんは早川さんに小学生の子どもがいることを知りました。
お母さん「まあ、かわいいお年頃。生きがいになるよねぇ。」
早川さん「うーーん。生きがい、ではないです。」
お母さん「え?」
早川さん「あ、いえ、もちろんかわいいです。夫婦で大切に、大切に育てていますけど、子どもは生きがいではない気がします。生きがいはひとりひとり自分の中にしかないんだと思います。」
お母さん「そう、なんでしょうか?」
2016年 君の隣りで 益田ミリ著
親子の関係。上からでもなく下から支えるでもなく、『隣』。一番近い存在だからこそ意識して、お互いに心地よい関係を築けたらいいなぁと思います。
益田ミリさんの本には、他にもたくさんの優しくて心にふわっと響く会話がたくさん描かれています。ゆるいイラストにもとっても癒されますよ。
たまにはブルーライトから離れてゆっくり読書、おすすめです。
最近のコメント